クリケットの話


 「クリケット」・・・聞き慣れない言葉だと思います。みなさんの中でも、「クリケット」と聞いて、すぐに何か思いつく人はそれ程いないでしょう。
 「クリケット」とは、スリランカで最も盛んに行われているスポーツの名前なのです。それも、日本人にはとても馴染みのあるスポーツの、もと(起源)となったものなのです。それでは、どんなスポーツのもととなったのか知っていますか?分かりやすく言うと、もし、クリケットが生まれていなければ、今頃「イチロー」や「新庄」たちがアメリカメジャーリーグで活躍している姿を見ることもなかったことでしょう。・・・・そうです、もう分かりましたね。クリケットは、「野球(ベースボール)」のもとになったスポーツなのです。

 クリケットは、元々イギリスで生まれた遊びで、それが西暦1700年頃からルールの整ったスポーツの形になっていったのだそうです。1700年頃といえば、日本では、まだ江戸時代の中頃で、「相撲(すもう)」が大流行していた時代です。つまり、イギリスで生まれたクリケットは、日本で言えば「相撲」のように歴史と伝統のあるスポーツなのです。

 ところで、みなさんの身近にクリケットをやったことがある人はいるでしょうか?たぶん、そう多くはいないでしょう。では、サッカーだったらどうでしょうか。日本では、ほとんどの学校が授業でサッカーをしているでしょうから、男の子に限らず、女の子でもサッカーの経験があるでしょう。また近年、Jリーグ効果・ワールドカップ効果も手伝い、サッカーは日本でも競技人口(そのスポーツをしている人の数)が増えてきているようです。全世界的にスポーツの競技人口を見ると、サッカーはダントツで一番多いのだそうです。それでは、クリケットの競技人口はどうかというと、・・・・実は、サッカーに続いて、何と世界で2番目に多いのだそうです。つまり、日本ではあまり馴染みがないだけで、世界的に見るとたいへん有名なスポーツなのです。

 2002年は、日本と韓国でサッカーのワールドカップが開催されます。ワールドカップとは、世界の予選を勝ち抜いた国同士が、文字通り優勝カップ(ワールドカップ)獲得を目指して技を競い合うスポーツイベントです。サッカーのワールドカップが世界で最も有名なのは言うまでもありません。しかし、クリケットにもワールドカップがあり、いつ開催されて、優勝したのはどの国かなどということは日本ではあまり知られていませんね。実は、1996年に開催されたクリケットワールドカップでは、何とスリランカが優勝をしているのです。そのときは、国中が盛り上がったということです。その優勝を記念して、硬貨まで発行されたほどです。(現在でも普通に使われています。)
 スリランカでは、ちょっとした広場・車が行き交う細い路地などでも、毎日クリケットを目にすることができます。クリケットは、子どもから大人までみんなが楽しめるスリランカの国民的スポーツと言ってもいいでしょう。
 

クリケット豆知識

 みなさんは、「ハットトリック」という言葉を聞いたことがありますか?サッカーの試合では、何度か聞いたことがあるのではないでしょうか。サッカーでは、1試合の中で、同じ人が3点とった場合を「ハットトリック」と言っています。これは、たいへん一般的な言葉ですが、「ハットトリック」という言葉は、実は、クリケットから生まれた言葉なのだそうです。
 クリケットは、野球と同じようにピッチャー(ボウラー)がバッター(バッツマン)に対してボールを投げ、バッターは、そのボールを打ちます。いろいろな方法で、バッツマンはアウトになりますが、ボウラーが3球連続でバッツマン3人をアウトにすることをクリケットでは「ハットトリック」と言います。つまり、一人のバッツマンを1球だけでアウトにし、それを3人続けるということです。野球を見ていても分かるように、そういったことは滅多にある事ではありませんね。まさに「トリック」のようです。クリケットでは、3球連続でで3人をアウトにしたボウラーに対して帽子(ハット)を贈り、その偉業を讃えていたのだそうです。そこから「ハットトリック」という言葉が生まれ、その後、他の球技スポーツにも使われるようになったということだそうです。

クリケットかんたんルール集

分かりやすいように、野球との違いを比べながら覚えましょう。

  クリケットの場合 野球の場合
グラウンドは、楕円形をしています。 扇形:銀杏の葉のような形
楕円形のグラウンドの中央付近に、ウィケットと呼ばれる3本柱が、約20bほど離れた位置に1セットずつ立っています。(野球にたとえると、ホームベース、1塁ベース及びピッチャーマウンドとが一緒になったような役割) ベースは4つ
11人ずつ、2チームで競い合います。 9人ずつ2チーム
ボウラー(ピッチャー)は、ボールに勢いをつけるために、後ろから走ってきてから投げても良い。 走ってきてはいけない
ボウラーは、ウィケットを倒そうとボールを投げます。バッツマン(バッター)は、ボウラーが投げたボールによってウィケットが倒されないように、バットでそれを防ぎます。ウィケットが倒された場合、バッツマンはアウトになります。
 バッツマンは攻撃をしながらもウィケットが倒されないように守り、ボウラーは守備をしながらもウィケットを倒そうと攻撃しています。攻撃と守備が一体となった面白いゲームです。
攻撃の時には攻撃だけ、守備の時には守備だけ
ボウラーは、手からボールが放れる時に、肘を曲げてはいけません。 肘は曲がっていても良い
ボウラーは、地面にバウンドさせたボールを投げても良い。 バウンドしたら、ボールになる
バッツマンは、何度空振りしてもアウトになりません。 3回空振りした三振アウトになる
バッツマンは、自分を中心にして360度どの方向に打っても良い。 前方90度の方向・その他はファール
10 バッツマンは、ボールを打った後、アウトになりそうだったら自分の意志で走らなくても良い。 打った後は、必ず1塁ベースに走らなければいけない
11 攻撃側はグラウンドに二人いる(1塁ベースにランナーがいる)状態で攻撃をします。バッツマンが二人。 バッターは一人
12 バッツマンは、2つのウィケット(ホームベースと1塁ベース)の間を行ったり来たりします。二人のバッツマンが、お互いに反対側のウィケットに向かいながらすれ違って走り、二人が1回入れ替わると1ラン(1点)が入ります。二人の息が合わないといけません。 一人のランナーが、4つのベースを1周して帰ってきたら1点
13 打ったボールが、スタンドに直接入ったら6ラン(点)。ワンバウンド以上でスタンドまで到達した場合は4ラン(点)。 ホームランは1点・満塁だった場合は4点
14 バッツマンは、アウトにならなければ何度でも打つことができます。 打った後、ランナーになった場合、次のバッターが打つ
15 10アウトで攻守が交代します。 3アウトで攻守交代
16 得点の多いチームが勝ちです。 得点の多い方が勝ち
17 1日で終わる試合や、5日間かけて行う試合などもあります。 基本的に1日で終わる


*その他、アウトの方法など様々なルールがあります。詳しいルールを知りたい方は、クリケットリンク集を参考にしてください。


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